不動産投資においては、インカムゲインとキャピタルゲイン、どちらも狙うことが可能です。
とはいえ、「どちらを追求すべきかわからない」という人も多いでしょう。
あくまでも基本的には、ですが、以下のような方針を取るのがおすすめです。
キャピタルゲイン/インカムゲイン
筆者が通っていた小学校では、ニワトリを飼っていた。えさやりに小屋の掃除と、飼育係は大変だったが、元気に育つニワトリを見るのは楽しかったし、産んだ卵をゆで卵にして食べられるという「特権」も与えられていた。
投資からもニワトリの飼育と同じような利益を得ることができる。株式や債券、不動産に貴金属など様々なものに資金を投入して、利益を上げようとする投資。そこで得られる利益は、「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」の二つに分けることができる。
キャピタルゲインは、株式や債券など、投資によって手に入れたもの(=資本:capital)の価値の上昇(=gain)によって得られる利益を示す。会社Aの株式を100円で1万株購入した投資家が、1年後に120円で売却したとしよう。この投資によって得られた利益は1株当たり20円、総額で20万円となる。これがキャピタルゲインであり、投資したニワトリが大きくなって価値が上昇したことで得られる利益に当たる。
一方、投資をすると、株式の配当や債券の利息、不動産の場合は賃貸料など、様々な収入(=income)を得ることができる。購入したA社の株式の配当が1株当たり2円だったとすると、1万株では2万円の配当金を手にすることができる。これがインカムゲインであり、ニワトリという投資対象(キャピタル)が産んだ「卵」に相当する。
インカムゲインは、投資先の状況に左右される。業績好調の企業なら配当は増えてインカムゲインは大きくなるが、業績が悪い企業の配当は少なく、ゼロになることも珍しくない。毎日たくさんの卵を産むニワトリがいる一方で、全く卵を産まないニワトリもいるというわけだ。しかし、インカムゲインはプラスかゼロであり、マイナスになること、つまり「 インカムロス 」は発生しない。
ところが、キャピタルゲインには キャピタルロス キャピタルゲインの定義 という「損失」が発生する場合がある。投資した株式や不動産の価格が下落し、購入時の価格を下回ればキャピタルロスが発生する。株式や債券の場合、発行している企業などが破綻すると、投資した資金がすべて失われるという事態になる。飼っていたニワトリが病気で死んでしまえば、大きなキャピタルロスが発生してしまうというわけだ。
また、キャピタルゲインは、投資の終了まで得ることはできない。キャピタルゲインは、購入した株式などを売却し、投資した資金を回収した時点で初めて手にすることができるもの。あくまでも「見かけ上の利益」であり、即座に使えるインカムゲインとは異なる。「大きくなった!」とニワトリの成長を喜ぶことはできても、その利益は、ニワトリを売り払ったり、食肉にして食べたりすることで初めて実現されるというわけだ。
投資から得られる二つの利益だが、日本ではキャピタルゲインを偏重する傾向が強い。インカムゲインは安定的だが、たまるまでに時間がかかる。一方、キャピタルゲインは、価格の変動を利用して短期に利益を上げることができる。このため、インカムゲインはあまり考慮せず、キャピタルゲインを狙う投資家が多くなっている。
着実に卵を産むニワトリか、どんどん大きくなるニワトリか…。キャピタルゲインとインカムゲインのどちらを重視するかは、投資行動を決める上での重要な要素なのである。
キャピタルゲインの定義
2-1. 日本銀行とその役割
2-4-2. 1929年 暗黒の木曜日(ウォール街大暴落)
2-1. 日本銀行とその役割
2-1. 日本銀行とその役割
1-1. 日本の経済
2-4-1. 1927年 昭和金融恐慌
【不動産投資初心者必見】インカムゲインとキャピタルゲインとは?
不動産投資においては、「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」という用語が、よく聞かれます。
いずれも、不動産投資家にとっては基本中の基本とも言える知識のため、 本格的に投資を始める前に、かならずおさえておく必要があります。
とはいえ、不動産投資初心者の場合、ほとんどの人はインカムゲインとキャピタルゲインについて、よくは知らないでしょう。
そこで、本記事では両者の特徴やメリット・デメリット、関係する税制などについて解説します。
不動産投資における「インカムゲイン」「キャピタルゲイン」
インカムゲインとキャピタルゲインは、いずれも「得られた利益」のことを指す言葉です。
しかし同じ利益でも、その性質はまったく異なります。
まずは両者の定義や特徴をおさえておきましょう。
「インカムゲイン」とは?
インカムゲインとは、「資産を保有していることで、継続的に得られる収入」という意味です。 キャピタルゲインの定義
不動産投資においては、基本的には“家賃収入=インカムゲイン”です。 キャピタルゲインの定義
不動産投資に取り組む人の多くが、「長期的に安定した家賃収入を得たい」と考えているはず。
それはまさしく、「インカムゲインを追求する」ということと同じです。
いくつかのインカムゲインを所有して、まとまった収入源に育て上げるのは、不動産投資においては理想型とも言えます。
また、不動産とは別に、株式などから発生する各種利益もインカムゲインと呼称されます。
インカムゲインのメリットとは?
インカムゲインのメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
・長期的で、安定感のある利益が得られるようになる
・継続的に少しずつ利益を得られる
・利益額が乱高下しづらい
・ほとんどリソースを割かなくても、収入が発生しうる
・損失を出しづらい
長期的かつ安定しているのはもちろんのこと、一度インカムゲインが形成されれば、時間もあまり取られません。
さらに、利益額が大きく変動するということも考えづらく、とても信用できる収入源です。
極端な言い方をすれば、「何もしなくても、とりあえず月いくらかは入ってくる」という状況が作られるわけです。
インカムゲインのデメリット
一方でインカムゲインには、以下のようなデメリットが存在します。
・一度に得られる利益は小さい
・計算外の費用が発生しやすく、収益性を予測しづらい
・入居率が下がると、利益は小さくなる
・不動産を手放せば、消滅してしまうので、保有し続けなければいけない
いくらインカムゲインが安定したものだとしても、絶対に揺らがないというわけではありません。
特に不動産投資の場合、入居率によって左右される部分もあります。
また、ずっと保有し続ける必要がある(維持費を要する)というのも、大きな注意点です。
「キャピタルゲイン」とは?
キャピタルゲインとは、「保有している不動産を売ったときの売却益」のことです。
たとえば1,000万円で取得した不動産を1,100万円で売却した場合、差額の100万円がキャピタルゲインとなります。
一方で、1,000万円で取得した不動産を800万円で売却すると、損失は200万円です。
この損失は、キャピタルゲインの対義語として、「キャピタルロス」というように呼称されます。
不動産以外では、株や有価証券、金やプラチナなどの売却益も、キャピタルゲインとして数えられます。
キャピタルゲインのメリット
キャピタルゲインのメリットは、おおむね以下の通りです。
・一度の売買で大きな利益を生み出せる可能性がある
・周辺環境の変化などで不動産の価値が高まれば、さらに利益は大きくなる
たった一度の売買で、大きな利益を生み出せるのは、キャピタルゲインならではのメリットと言えるでしょう。
そして周辺環境の変化などが有利に働くなど、外的要因に助けられることもあります。
キャピタルゲインのデメリット
キャピタルゲインのデメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
・キャピタルロスが発生する場合もある
・不動産価値の上下が読みづらく、念入りなリサーチと先見性を求められる
・税率が高い(後述)
「キャピタルロスが発生しうる」というのが、キャピタルゲインにおける強烈なデメリットです。
不動産の場合、人口減少や環境変化などによって資産価値が急落するケースもあります。
そういったときは、やむをえずキャピタルロスを受け入れて売却しなければならない可能性もあります。
1980年代には、バブル期で不動産価値が異常に上昇し、莫大なキャピタルゲインを手にする人もいました。
一方で売り時を誤り、バブル崩壊後、再起できないほどの損害をこうむった、という人もいます。
ここからも、キャピタルゲインおよびキャピタルロスがもたらすリスクの大きさを読み取れるでしょう。
インカムゲインとキャピタルゲインにまつわる税制を知ろう
インカムゲインとキャピタルゲインには、それぞれ異なる税制が敷かれています。
税制についてもきちんと理解し、いずれのゲインを狙うべきか決めるときに、判断材料とする必要があります。
インカムゲインの税制
インカムゲインの場合、利益から必要だった経費を差し引いた金額に対して、所得税がかけられます。
要するに、自営業者へ課せられている税金と、ほとんど同じです。
ただし例外として、不動産による所得が20万円に満たない場合は、そもそも申告する必要がありません(20万円ルール)。
ちなみに、不動産投資における経費としては、「修繕積立金」や「ローン金利」をはじめ、「通信費」や「士業者への報酬」なども含まれます。
非常に広い範囲で経費が認められるので、この仕組みは最大限活用したいところです。
所得税が何パーセント課せられるかは、本人の給与所得などによって変化します。
たとえば年収500万円なら、所得税率は20%、などというようにに定められているわけです。
自身の収入に対してどれだけの所得税率がかけられているかは、国税庁ホームページ から確認できます。
国税庁ホームページ
ひとつの式としてまとめると、
<不動産所得−必要経費-本人に課せられる所得税率=インカムゲインに生じる税額>
という計算式になります。
キャピタルゲインの税制
キャピタルゲインに対しては、
・5年未満しか保有していない不動産(短期保有)
・5年以上保有している不動産(長期保有)
それぞれに、異なる税金の計算が用いられます。
短期保有に対しては、所得税として30.63%、そして住民税として9%が税金として発生します。
長期保有に対しては、所得税として15.315%、住民税として5%が税金として発生する仕組みです。
簡単な式にまとめると、
・短期保有:<キャピタルゲインx39.63%=キャピタルゲインにかかる税金>
・長期保有:<キャピタルゲインx20.315%=キャピタルゲインにかかる税金>
という計算式になります。
見てのとおり、「短期保有、長期保有の双方で、かかる税額が違う」というのが大きなポイント。
なるべく長期保有として処理するのが、キャピタルゲインの節税においては重要となるでしょう。
そして多くの人は、「税率が高い」と感じたはず。
たとえば、短期保有の不動産を売却して300万円のキャピタルゲインを得たとしても、およそ188万円を納税することとなります。
この税率といかにして向き合っていくかというのも、キャピタルゲイン狙いでの不動産投資のポイントとなるでしょう。
インカムゲイン・キャピタルゲイン共通の成功ポイントとは?
ここまでで解説してきた通り、インカムゲインとキャピタルゲインは、まったく違った性質を持っています。
しかしいずれも、成功させるためには「不動産の持つ価値が高い」というのがポイントとなっていることに違いはありません。
インカムゲインの場合は、「いかにして空室を減らすか」がポイントになります。
空室を減らしたいなら、誰かに対して何らかのベネフィットを提供し、「入居したい」と思わせる必要があるわけです。
この場合、立地や外装などの各種条件が、「不動産の価値」として成り立ちます。
不動産の価値が高ければ、ベネフィットを作り出し、空室も避けられるというわけです。
キャピタルゲインの場合は、「いかにして高い値段で売るか」というのがポイントになります。
高い値段で売るためには、やはり不動産を探している人にとって、大きな価値を感じてもらうことが必要です。
「内装が綺麗」「駅が近い」など、住む上でのポイントは、もちろん不動産の価値と言えるでしょう。
他にも「少し改装すれば貸し出せそうだ」「利回りがよさそうだ」というように、投資目的からの価値も見出せます。
不動産の価値を高める方法は、実にさまざまです。
たとえば、”リノベーションやリフォームで、利便性やデザイン性を高める”というようなことですね。
契約面で譲歩するといったことも、ある種の価値を生み出すでしょう。
というように、インカムゲインであろうがキャピタルゲインであろうが、やはり「不動産の持つ価値をいかに高く保つか?」というのがポイントとなるわけです。
不動産投資において、どっちのゲインを追求すべきか?
不動産投資においては、インカムゲインとキャピタルゲイン、どちらも狙うことが可能です。
とはいえ、「どちらを追求すべきかわからない」という人も多いでしょう。
あくまでも基本的には、ですが、以下のような方針を取るのがおすすめです。
長期を見据えるなら、インカムゲイン
長期的に利益を発生させたいのであれば、インカムゲインへとシフトする必要があります。
不動産の場合、極端な空室さえ避けられれば、安定して収入が得られます。
また、定年退職後や病気で就業が難しくなったとしても、インカムゲインはその窮地を助けてくれるはずです。
インカムゲインの場合、最初はごく小さな収益しか発生しません。
たとえばマンション一部屋の賃貸からスタートして、月50,000円(経費別)といったレベルでしょう。
しかし、少しずつ物件数を増やすことで、インカムゲインは徐々に大きくなっていきます。
たとえば、”アパートをいくつか有している”という状況になれば、月数十万円のインカムゲインを発生させることも可能ですし、 不動産を多く所持しているのであれば、「たとえいずれかの不動産に空室があっても、他で補填する」という状態にも持っていけます。
このような状況が構築できれば非常に心強く、「多少上下はするが、毎月まとまった収入が勝手に入ってくる」という流れを持つことが可能です。
短期で勝負するなら、キャピタルゲイン
もし、短期で収益を出したいと考えているのであれば、キャピタルゲインにシフトしましょう。
うまくいけば、数ヶ月の間で数百万円単位のキャピタルゲインを手にすることも可能です。
そのためには、「将来的に価値が高まる不動産」を見つけて、保有しておく必要があります。
もちろん、”どの不動産が将来的にキャピタルゲインを生み出すか(仕入れ値以上で売れるか)”を知るためには、相当な知識と努力が必要です。
自分自身のリサーチは元より、専門家から意見を聞き入れるのも必要となるでしょう。
キャピタルゲインを発生させるのは、非常に難易度の高いことですが、 短期で大きな収益を得るチャンスでもあります。
インカムゲインとキャピタルゲインを併用
不動産投資が進行してくると、いずれはインカムゲインとキャピタルゲインを併用することとなるでしょう。
最終的には、両方を適切に活用することが求められます。 キャピタルゲインの定義
たとえば、「キャピタルゲイン目的で不動産を取得したが、買い手がつかないので貸し出す(インカムゲインへシフトする)」というようなケースが考えられるでしょう。
また、「インカムゲインは得られているが、キャピタルゲインのほうが利益を出せる」という場面だって、当然出てくるはずです。
というようなことから、不動産投資が発展してくると、最終的にはインカムゲインとキャピタルゲインをバランスよく追求することになるでしょう。
ただし、全ての不動産投資家が、両方を駆使しているわけではありません。
中には、どちらか一方だけを追求している人もいます。
不動産投資における「インカムゲイン」「キャピタルゲイン」 まとめ
不動産投資においては、インカムゲインとキャピタルゲインが、ひとつのキーワードとなります。
両者は同じ収益でも、持っている性質はまったく異なります。
基本的には、
・インカムゲイン→ローリスクローリターン
・キャピタルゲイン→ハイリスクハイリターン
という形になるでしょう。
ただし、複雑な不動産事情の元では、多々例外があるという点は理解しておいてください。
どちらか一方が優れている、というものではありません。
自分自身のライフプランや希望に合わせて、どちらに重点を置くべきか?
ぜひ本記事を参考に、考えてみてはいかがでしょうか。
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2020年11月9日 2021年12月23日 資産運用
投資信託の利益と税金の「知らなかった」では済まない基本知識と対策について
投資信託には3つの利益がある
分配金(インカムゲイン)
売買差益(キャピタルゲイン)
解約益・償還差益
分配金(インカムゲイン)についてより詳しく分かりやすく
2つの運用収益が分配される
分配金が出ると基準価額が変動する
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分配金の複利運用にメリットあり
売買差益(キャピタルゲイン)についてより詳しく分かりやすく
「損切り売却」と「利益確定売却」
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利益確定後の投資行動がネックに
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特定口座の種類で違う確定申告と納税
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分配金は「総合課税」か「申告分離課税」を選ぶこともできる
投資信託の「利益確定」と「税金対策」で失敗しないために
投資信託の利益やリスクを最適化したい方は、資産運用を専門としたサービスを提供している ネイチャーグループ (税理士法人ネイチャー・株式会社ネイチャーウェルスマネジメント)にご相談ください。投資信託の利益をどのように運用すればよいのかを知りたいなら、ぜひセミナーへの参加をご検討ください。
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資産規模100億円を超えるクライアントの案件を数多く抱えてきた異彩を放つ経歴から、「富裕層を熟知した税理士」として多数メディアに取り上げられている。 培った知識、経験、技量を活かし、富裕層のみならず幅広いお客様に税金対策・資産運用をご提案している。 現在は代表税理士を務める傍ら、英国国立ウェールズ大学経営大学院に在学中(MBA取得予定)。
英国国立オックスフォード大学ELP修了。東京大学EMP修了予定。
また、Mastercard®最上位クラスで、富裕層を多く抱えるクレジットカードLUXURY CARDのオフィシャルアンバサダーに就任。
◇◆ネイチャーグループの強み◇◆
・〈富裕層〉×〈富裕層をめざす方〉向けの税金対策/資産運用専門ファーム
・日本最大規模の富裕層向けコンサルティング
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将来的に大きく成長しそうな技術やビジネスモデルを持つ会社への投資のこと。新興市場のベンチャー企業など成長分野で事業を行う小規模な会社が対象です。注目度が低く株価も安い時点で購入し、業績が伸びて株価が上昇した後に売却して大きなリターンを得ます。
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収益や資産、配当の水準から見て株価が実力より割安状態の会社への投資のこと。伝統的な大手企業が対象です。何らかの要因で株価が下がっているが引き続き業績の安定が期待される場合に、お値打ち価格で購入。株価が上昇したときに売却して大きなリターンを得ます。
2.ソニー株で売却益を得る方法は?
それではソニー株を例に、売却益を得る道筋をシュミレーションしてみましょう。
ソニーの株価は8月14日に8910円まで上昇し、2001年6月以来およそ19年ぶりの高値をつけました。1年前は5800円前後だったので、およそ3100円の値上がりです。
ソニー株が5800円の時点で100株購入し、8910円の時点ですべて売却したとすると、89万1000円-58万円=31万1000円の売却益(取引手数料・税金別)となります。
19年ぶりの高値をつけたソニー株がこれ以上は上がらないとすれば、キャピタルゲインねらいの銘柄としては不向きです。
しかし、ソニーの株価が今後さらに上昇するとすれば、いま購入することで将来キャピタルゲインを得る可能性が出てきます。
ソニーの今後の業績を予想するためには、 事業のセグメントごとに業績に影響を与える要素とその動きを 確認すること が必要です。
ソニーのセグメントは「ゲーム」「音楽」「映画」「エレクトロニクス」「イメージセンサー」「金融」に「その他」を含めて7つ。8月4日に発表した2021年3月期の第1四半期決算では、売上・営業利益ともに前年同期比並みを維持していました。
しかしその内訳を見ると、新型コロナ禍の影響で多くの事業が業績を悪化させている中で、ゲーム事業が売上利益を大きく伸ばしてグループ全体の利益の過半数をカバーしている、というものでした。
ゲーム事業の好調の要因は、2020年にリリースされた「The Last of Us PartⅡ」および「Ghost of Tsushima」の好調によるものです。また、ゲーム機のハードウェアの売上が落ちていますが、これは新機種PlayStation 5の販売を間近にした買い控えのためです。
セグメントとは、部門や所在地、事業部などの区分のこと。会社の業績を全体集計だけで見るよりも、より細かいセグメントごとに見た方が事業の実態が理解しやすくなります。
セグメントごとの会計は、決算短信や有価証券報告書に記載されており、決算説明会資料にはさらに詳しく公表されている場合もあります。
セグメント会計は経営者の意思決定単位としてだけでなく、投資家や銀行などの外部ステークホルダーがより的確に意思決定を行うために必要なものです。
通期の連結業績予想は、売上および営業収入は前期を401億円上回る8兆3000億円を確保するものの、営業利益は前期比2255億円減(△27%)の6200億円に落ち込む見込みです。
株価はこれを受けて一時やや下がりましたが、8月14日には8876円まで回復。現在は8500円台となっていますが大きく落ち込んではいません。
これは、コロナ禍の落ち込みをゲームや映画、金融事業がカバーして売上を維持できることに対する好評価と、前期好調だったイメージセンサーがコロナ禍の収束で今後回復する期待があったものと見られます。
なお、ゲーム事業は前述の通り、7年ぶりの新機種「PlayStation 5」の2020年の年末商戦への投入を予定しており、売上貢献が大きくなると予想されます。ただし新機種投入に伴い販売・プロモーション費や管理費も増えるため、利益への貢献は来期以降と見た方がいいのかもしれません。
このように見ると、ソニー株は資産などからして割安株とはいえないものの、 コロナ禍の影響から回復する事業に加え、ゲーム事業の成長により、ソニーの業績は大きく伸長し、株価も上昇する「成長株」になりうる ――そのような可能性も考えられます。
仮にソニーの株価が8500円の時点で100株購入し、1万円ですべて売却した場合、15万円の売却益を得ることができます。果たしてソニー株は1万円をねらえるでしょうか?
3.ソニーの株はどうやって買うの?
■ (1) 証券口座の開設
ソニー株の購入は、ソニーに直接申し込むのではなく、証券会社を通じて行います。証券口座は、証券会社に依頼して開設します。株を個人で始める場合には、取引手数料を抑えられるネット証券がおすすめです。
ただし、目先の手数料の低さだけで決めてしまうと、外国株が購入できないなど取引に制限が生じたり、取引ツールが使いにくく自力で売買できなくなってしまったりするので、 安心できる大手のネット証券で口座を開設した方がいいでしょう。
なお、2016年1月以降、証券口座の開設には、法令により提出書類のひとつにマイナンバーが必要となっていますのでご準備ください。
■ (2) 購入資金
株の購入には資金が要ります。ソニーの株価が8800円のとき、通常の購入資金は最低でも88万円(+手数料)が必要になります。なぜ株価の100倍からかというと、ソニーは100株を「1単元」と設定しているからです。
1単元とは、通常の株式取引で売買される売買単位のこと。ソニー株は100株単位でないと買ったり売ったりすることができないのです。
しかし、これでは多額の購入資金を準備できる人でないと、ソニー株を購入できません。
そこで一部の証券会社から提供されているのが「単元未満株取引」というサービスです。 これを利用すると、ソニー株を1株単位(株価が8800円のときは8800円)で購入できます。
単元未満株の場合、株主総会などの投票にかかる議決権がないなどの一部制限がありますが、配当を受け取ることはできます。
単元未満株は、俗に「ミニ株」とも呼ばれますが、SBI証券では「S株」と呼んでいます。S株投資は、
・「少額から投資可能」
・「配当が受け取れる」
・「24時間いつでも注文が可能」
といったメリットが打ち出されており、NISA口座での取引も可能です。
なお余談ですが、SBI証券では現金がなくてもTポイントを使って投資信託(構成銘柄や比率が決められた金融商品)の買付をすることができ、 国内株式や投資信託、金・プラチナ・銀などの商品の取引を通じてTポイントを貯めることもできます。
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